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医師からのメッセージ 勤務医・9年目(大学院生

私は平成17年に大学卒業後、市中病院での2年間の初期臨床研修を受けました。初期臨床研修開始当初より外科治療と癌診療、そして呼吸器疾患に興味があり、研修開始時から「進路は呼吸器外科」と決めていました。3年目に初期研修病院の外科レジデントとして一般外科と心臓血管外科の研修を受けた後、4年目から大阪大学呼吸器外科学教室に入局し呼吸器専門病院で呼吸器外科の修練を受けました。5年目に外科専門医、6年目にがん治療認定医、8年目になる今年、呼吸器外科専門医を取得しました。現在、大学院へ進学し、基礎研究を行っています。

幅広く活躍できる呼吸器外科

進路を決めていた、とは書いていますが、正直な所を申しますと、2年間の研修の中で他科への興味も少なからずありました。救急、産婦人科、循環器内科、麻酔科、などなど…。呼吸器内科を考えたこともありました。これから進路を決めようと考えている学生や研修医の皆さんも、実習や研修の中で各科の素晴らしい先生方と出会い、それぞれの分野に特有の魅力を実感する中で、同じように悩むことがあると思います。私が最終的に呼吸器外科を選んだ理由は、(先生方の雰囲気が良いというのはまず前提としてさておき)呼吸器外科が、手術をする「外科」なだけではなく、豊富な内科的知識を要求される奥深い分野だったからです。

 呼吸器外科では、特に肺癌手術の際、その「手術適応」について大いに頭を悩ませます。肺癌はまだまだ予後不良な疾患ですし、肺はvital organですので、癌があるからとりあえず切除、というわけには行きません。Oncologicalな要素以外に呼吸機能や心機能、併存疾患などを十分考慮した適応判断と術後管理が必要です。幸い、呼吸器外科医は緊急手術に忙殺されることは稀ですので、日々進歩する医学の新しい知見を勉強する時間的余裕もあり、患者さん一人ひとりの治療にしっかり向き合うことができます。また、大学や関連病院の先生方からは日々の診療だけではなく、学会発表や論文執筆についても熱く指導して頂けますので、学術活動を含む知的欲求も十分に満たすことができると思います。もちろん、大学では、心臓血管外科と連携した心・大血管の絡む肺・縦隔悪性腫瘍の拡大切除や肺移植などのdynamicな手術もあり、外科医としての貴重な経験を積むことが可能です。このように、呼吸器外科は、ただ純粋に「外科手術」に興味がある人から、一手段としての「外科治療」を含む全人的医療の全般に興味のある人まで、幅広く活躍できる分野であると思っています。

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大学院への進学

次に、大学院への進学について少し述べさせて頂きます。私自身、医学部の学生や研修医の時、医者として働き始めた後に入学する大学院って何だろう?と思っていました。ただ、臨床医として7年間患者さんの治療を行う中で、現時点で常識とされている疾患概念に対して標準とされる治療方法を実践するだけではなく、そこから一歩踏み込んで、新たな病理・病態の探究とそれに対する治療法の探索に思いを馳せるようになりました。私にとってはまだ始まったばかりの大学院生活ですが、一時的に臨床を離れて得られた貴重な時間に、臨床医として現場に戻った際、これから出会う患者さんとおそらく直接出会うことのないより多くの患者さん方に今より少しでも安全で有効な治療法を模索し、提案できる知識と研究技術を身に着けていきたい、と考えています。

多角的な治療・研究が実践できる分野

最後に、近年外科医は減少傾向にあるといわれています。特に、進歩する診断・治療技術に伴い年々増加する切除可能な肺癌患者数に比べ、呼吸器外科を専門とする医師の数はまだまだ多くないというのが現状です。また、先にも述べたように呼吸器外科は、dynamicな手術手技と奥深い疾患への多角的な治療・研究の実践が選択・両立できる「味わい」ある分野です。医学を勉強する中、初期研修中、外科医としての後期研修中、肺や縦隔の疾患・治療に少しでも興味が沸いたなら、是非、大阪大学や関連研修病院の呼吸器外科を訪ねてください。きっと、「外科医」らしくない、優しい先生方が迎えてくれることと思います。

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