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大阪大学・呼吸器外科教授 奥村明之進 ごあいさつ

平成19年4月1日付けで大阪大学に呼吸器外科学教室が開講し、初代教授に就任いたしましたので、ご挨拶申し上げます。

肺結核が国民病であった時代、呼吸器外科診療は主要臨床分野でしたが、強力な抗結核薬の開発により結核治療の主体が外科から内科へと移行しました。しかしながら近年、肺癌患者の急増、肺癌検診の普及、気管支鏡やCTなどの診断技術の向上により肺癌手術数は急速に増加し、呼吸器外科診療が再認識されるようになりました。これと並行して、内視鏡手術・低侵襲手術という技術革新が呼吸器外科領域にももたらされ、肺癌手術も特定の条件下では機能温存を目的とする積極的縮小手術区域切除の適応も確立されつつあります。

このように、呼吸器外科臨床は専門性の高い診療分野としてクローズアップされています。  大阪大学医学部付属病院でも過去10年間は毎年のように手術症例数は増加しており、平成18年は過去最高の229例の全身麻酔手術を施行し、そのうち肺癌手術は100例です。院内他科からの転移性肺腫瘍の紹介も増加しており、癌治療における呼吸器外科の果たす役割が高まっています。

大阪大学の呼吸器外科はこれまで、
  1. 気管腫瘍に対する本邦初の気管切除・再建
  2. 胸腺腫の正岡臨床病期分類の確立
  3. 重症筋無力症に対する拡大胸腺摘出術の開発
  4. 胸腺腫の免疫学的機能・重症筋無力症の発症機序の解明
  5. 肺切除の機能的適応決定
  6. 肺切除後の呼吸機能予測
  7. 本邦初の脳死体からの肺移植
などの実績をあげ、日本における呼吸器外科の基幹施設の一つとしての役割を担って参りました。

今後は、これまでの基礎研究の実績に基づくTranslational researchの実践に力を入れ、先進医療の開発・普及に努めたいと思います。特に増加する肺癌の診療には重点を置き、胸腔鏡下の肺癌手術の推進などの技術面の推進、分子生物学的手法を用いた悪性度評価に基づくオーダーメイド医療の実践、新たな分子標的療法の開発につながる基礎研究を推進する方針です。
また切除不能の悪性腫瘍に対してはホウ素中性子捕獲療法のような新たな治療方法の実践を積極的に導入していきたいと思います。

急増する肺癌・胸膜中皮腫・肺気腫など呼吸器疾患の治療を行っていくには呼吸器外科を専攻する人材の育成は急務であり、新規の講座として呼吸器外科医の養成における重責を感じます。Innovative な臨床・研究活動を通じての臨床実績向上と人材育成を担い、その結果として呼吸器外科医の国内外での高い評価に結びつけばと思っています。

以上、教授就任に際しての挨拶とさせていただきます。

奥村 明之進

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