
TOP > 一般外来の方 > 呼吸器外科の臨床研究 > 間質性肺炎合併肺癌切除患者
研究の意義:
肺癌は年々増加傾向にあり、我が国の癌死の第一位であり、年間約5万人が肺癌で死亡しています。社会の高齢化、肺癌の増加に伴い手術対象も高齢化し、肺気腫や間質性肺炎などの呼吸器疾患を基礎疾患に持つ症例、心臓疾患合併、腎不全症例など他疾患合併症例などの肺癌手術数は増加傾向を示しています。
間質性肺炎の中には診断確定後の平均生存期間は2.5〜5年と報告される予後不良の疾患が多く、特に特発性肺線維症 ( Idiopathic pulmonary fibrosis : IPF ) は慢性かつ進行性の経過をたどり、肺癌を合併する頻度が高いことも報告されています。間質性肺炎を合併した肺癌の手術療法については合併症の頻度が高いことが知られており、2008年度の日本呼吸器外科学会の統計によると、間質性肺炎合併肺癌の術後急性増悪は術後死亡の主因であることが明らかにされました。しかしながら間質性肺炎合併肺癌患者に対する手術療法について、現状では国内のみならず、世界的に治療指針はない状態であり、間質性肺炎合併肺癌切除術に際して急性増悪をもたらす因子の解析を行うことは緊急の課題と考えています。
研究の目的:
間質性肺炎合併肺癌切除術に際して急性増悪をもたらす因子の同定することです。具体的には、間質性肺炎合併肺癌患者の患者因子(採血/呼吸機能検査データ・間質性肺炎の分類・肺癌の進行度)、周術期因子(術式・手術時間・出血量)と急性増悪の有無との関連を解析し、急性増悪の危険因子を探索することを目的としています。
研究の方法:
2000年1月から2009年12月までに、当院で全身麻酔下に肺部分切除以上の肺切除術を施行された間質性肺炎合併非小細胞肺癌患者を対象とします。研究者が診療情報をもとに患者因子(採血/呼吸機能検査データ・間質性肺炎の分類・肺癌の進行度)と周術期因子(術式・手術時間・出血量)を選び、コンピュータ分析を行い、間質性肺炎が術後に急性増悪する危険因子を調べます。
研究の対象に該当する患者さんへ:
プライバシーの確保のため、患者さんが特定できないようにデータを処理した上で解析を行います。また、研究結果を公表する際には、症例のグループごとでの解析結果の発表となり、患者さん個人が特定されることはありません。それでも、ご自身のデータを研究に使ってほしくないとお考えの場合には、下記にご連絡ください。ただし、すでに発表済みなどで必ずしもご要望に添えない場合もあることをご了承ください。
