先輩医師の声
13年目 男性
当科を選んだ理由
父が心臓血管外科医のため、もともと漠然とではあるが心臓血管外科医になりたいと思っていましたが、初期研修2年目の大学での外科研修で最初に呼吸器外科を回りました。
スタッフの先生や病棟係の先生に優しく指導していただき、また手術にも入って胸腔鏡手術の奥深さや楽しさを学び、呼吸器外科医を目指すようになりました。
現在、取り組んでいること
大学院時代は、肺癌と肺に常在する肺胞マクロファージの関係について研究していました。
4年半基礎研究に従事した後、2022年10月より臨床に戻りました。私が院生になる前と比べて、現在は区域切除が主流となりつつあり、その手技に慣れつついずれは単孔やロボット手術も進めていきたいと思っております。また、研究に関して、今後は臨床医の立場として肺癌と肺胞マクロファージの関係を調べていきたいと思っています。
やりがいについて
数年前まで肺癌の基本術式は肺葉切除であり、術後の呼吸機能は術前よりも10-20%前後低下することが多いです。
手術して機能低下させてしまうことが残念でしたが、先述の通り現在は区域切除が主流となりつつあり、術後呼吸機能を保つことが出来るようになりました。
区域切除は肺葉切除に比べて難易度は高いですがその分やりがいがあります。
術後の外来で「息苦しさはない、先生に手術してもらって本当に良かった」と言われることが、呼吸器外科医になって良かったとおもえる瞬間です。
ホームページを閲覧される方へ
これは僕の率直な感想や体験です。 大学の医局はアットホームな雰囲気が売りです。
スタッフの先生に臨床のことで相談しやすく、また研究に関しては、全く基礎研究をしたことがない状態で大学院に入り、1年以上良い結果を出せずに苦しんでた時、他の院生と一緒に昼休憩したり他愛もない話をすることで、心が救われたこともあります。また、今まで勤務した外病院では、病棟で困ったときは同僚に相談したり、手術手技も日々指導してもらえています。
入局する若手呼吸器外科医も年々増えています。
年の近い先輩たちと日々砥礪切磋しながら呼吸器外科医としてのキャリアをスタートさせてみませんか?
私たちもできるだけサポート致します!
8年目 女性
呼吸器外科を選んだ理由
学生時代は外科に進むことは正直考えていませんでした。私は他大学出身なのですが、出身大学での外科実習の印象が「人手不足で大変」・「男社会」という印象がとても強かったからです。
初期研修1年目は市中病院で行いました。内科・外科・救急科など様々な科で研修する中で、外科の先生方の明るい雰囲気や手技を自分ですることが好きということが分かり「外科に進みたい」という漠然とした希望が出てきましたが、具体的な科が決まらないまま2年目の研修が始まりました。2年目は大阪大学医学部附属病院で研修し、いくつかの外科をローテートした中の1つが呼吸器外科でした。術前にCTを見ながら先生方と予習をした肺動脈・気管支などの脈管構造が、剥離を進めるにつれて、出血がほとんどない術野で綺麗に見えたことに感動したことを覚えています。
1か月という短い研修期間の中で、呼吸器外科の医局の雰囲気がとても良く、上の先生方が楽しそうに毎日の業務を行っているところが印象的でした。また女性指導医の先生が第1線で働かれていることは、消化器外科や心臓血管外科の研修中に感じた「女性で生涯外科の仕事を継続していけるのだろうか」という疑問を払拭することができ、私にとってはとても魅力でした。
このような理由から将来自分もこの医局の一員として働きたいと思い、呼吸器外科に進むことを決めました。
当呼吸器外科入局後の研修
卒後3年目で呼吸器外科に入局した後は、大阪大学医学部附属病院で1年間・市中病院2年間後期研修医として修練しました。後期研修医の期間は呼吸器外科だけではなく、消化器外科を中心に一般外科業務にも従事しました。その後high volume centerで3年間呼吸器外科の研修を積み、卒後7年目で外科専門医とがん治療認定医・卒後8年目で呼吸器外科専門医を取得しました。この期間は肺癌を中心に、指導医の先生のご指導を頂きながら手術手技の習得ができました。卒後9年目で大阪大学に帰学し、1年間病棟業務に従事した後に大学院に進学予定です。
大阪大学呼吸器外科について
呼吸器外科は、肺癌の他に肺感染症・縦隔腫瘍や気胸・膿胸など幅広い疾患を見ることができます。大阪大学呼吸器外科の指導医の先生方はとても教育熱心な先生が多く、日常診療や手術手技の指導はもちろんですが、学会発表や論文作成などの指導もしていただける環境にあると思います。また大阪府を中心に関連病院も多くあることは、大阪大学の魅力・特徴の1つかと思います。呼吸器外科の手術は、同じ肺葉切除でも施設・指導医の先生によってアプローチ方法(胸腔鏡or開胸orロボット支援下など、またポート位置の違いなど)が違うので、多くの施設で様々な方法を吸収できると思います。
私の入局の決め手にもなりましたが医局の雰囲気はアットホームでとても良いので、呼吸器外科を少しでも考えているという先生方は是非一度見学や研修で来ていただけたらと思います。
5年目 男性
呼吸器外科を選んだ理由
1.外科=消化器外科?頑張る=緊急?
学生時代はとにかくバリバリ働く将来を夢見つつ、師弟関係・技術伝承という職人的な面がある外科診療科を志望してました。そんな中、消化器外科(以下、消外)実習での肝胆膵領域のオペレコ作成が楽しく、手術プレゼンも偶然高く評価されたたこと、また、指導医が頻繁に焼肉をご馳走してくれ、その度に「お前は消外に向いている」と言われ、素直に消外志望になりました。
初期研修では「研修医はお客様ではありません」が誘い文句の病院を選びました。待望の消外ローテでは、理想と現実の違いを実感したが、なかなか言い出せずにいました。さらに他診療科ローテでも体力の限り働いたものの、緊急時に心が躍らず、オンコール中に落ち着かないことを実感し、実は「そもそも忙しいことに向いてないのでは」と自分に失望していました。こうして、消外・緊急への違和感が募っていき、1年目の終盤には志望科のない、ただ雑用の早い研修医となってしまいました。
2.楽しそうに働くかっこいい呼吸器外科医たちとの出会い
私の出身大学では呼吸器外科(以下、呼外)は独立しておらず、実質的に研修医2年目で初めてその存在を知りました。主に扱う肺は充実臓器で脈管構造が複雑であるため手術の戦略性が高い一方で、手術時間は2-3時間と短く、さらに緊急手術も少ない(あっても準緊急)です。これは当時の私にとって夢のような診療科に思えました。加えて、研修先の呼外が洗練されたチームであり、とにかく楽しそうに仕事をしているのも魅力的で決め手となりました。また、「緊急よりも、目標に対して戦略を練って達成することが好き」という自己分析結果もまとまり、呼外で頑張ることを決めました。
3.緊急の業を背負わずブルーオーシャンの呼吸器外科へ
呼吸器外科医は増加傾向であるものの、全国に1500人ほどしかおらず依然人手不足であるようです。この一方で、狭くマニアックな呼外業界は、術式についてだけでも「胸腔鏡だけで行うのか、直視を併用するのか」、「1つの傷でやるのか(単孔)、ロボットも単孔でやるのか」、「挿管を省略できないか」など完全に群雄割拠時代を迎えており、見どころ満載です。ブルーオーシャンである呼外を選ぶことを勧めたいと思っています(楽をしたければ、というわけではないです)。
大阪大学呼吸器外科に入局した理由
-大阪府下・阪神地域に充実の関連施設、実際の後期研修医生活、外様問題-
私は大阪出身・他大学出身であり、何としても大阪で生活がしたかったため、地元密着の大学医局が候補となりました。その中で、研修医時代の尊敬する先輩2人が入局されており、大阪府下・阪神地域に20を超える総合病院・呼吸器専門病院からなる関連施設を持つ大阪大学に決めました。医局へご挨拶に伺った際には、雰囲気を感じ明るい医局生活を確信しました。阪大後期研修プログラムでは、多くの先生にご指導を賜り、気胸や膿胸、肺楔状切除から肺葉切除までといった十分な執刀経験を積み、学術活動・家庭との両立も可能でした。同期は4人と呼外としては多く、ハンズオンセミナー・飲み会を含めた交流により、協力・切磋琢磨できる環境です。
最後に。私を含め、大阪で働きたい(戻りたい)他大学出身者にとって「外様問題」は永遠のテーマです。しかし、結果的には杞憂に終わっています。当医局における他大学出身者(いわゆる外様)は約4割を占め、もはやマイノリティとは言えません。むしろ、努力相応の評価と機会があります。「外様は差別される」という先入観から、「大阪で呼吸器外科医として働く」チャンスを失うのはあまりにもったいないと考え、あえて言及ました。
この寄稿がどなたかの診療科選択・医局選択に役立つことを祈念し、稿を終えることとします。