大阪大学呼吸器外科 新谷康 あいさつ

大阪大学大学院医学系研究科呼吸器外科学教室は、2007年に外科学講座の臓器再編により新設されて以来、全国でも有数の呼吸器外科の教育・診療・研究拠点として発展を遂げてきました。私、新谷康は2019年4月に第二代教授として着任し、以来、医局員一同とともに臨床・教育・研究のさらなる充実を図ってまいりました。
大阪大学医学部附属病院では、呼吸器外科・呼吸器内科・放射線診断・治療科が緊密に連携した呼吸器センター体制を構築し、専門性の高い多職種チーム医療により、呼吸器疾患に対する迅速かつ包括的な医療提供を実現しています。術前診断から集学的治療、術後フォローアップに至るまで、患者さん一人ひとりに寄り添った安全で質の高い医療を提供することを心がけています。
手術件数は着実に増加を続けており、現在では年間約450件以上の全身麻酔下手術を実施しています。低侵襲手術の進歩とともに、胸腔鏡手術やロボット支援下手術(RATS)を積極的に導入し、患者さんの身体的負担を最小限に抑えた手術の提供に努めています。特に重症筋無力症や胸腺腫に対しては、長年の病態解明と手術手技の蓄積を活かした集学的診療体制を構築しており、全国から多くの患者さんをご紹介いただいています。
さらに、当科は国内有数の肺移植実施施設であり、1998年に国内初の脳死肺移植を実施して以来、これまでに脳死肺移植、生体肺葉移植、心肺同時移植など合計100例近くの実績を有しています。特に周術期管理や術後フォローアップ体制においては、集中治療科や移植内科、感染症内科などとの緊密な連携のもと、安全性の高い肺移植医療の提供を実現しています。
研究においては、肺癌、胸腺腫瘍、肺移植、再生医療を中心に、基礎から臨床応用に至る幅広いテーマに取り組んできました。近年は、がんゲノム解析、AIを用いた診断支援、バイオマーカー開発、臓器オルガノイドやCOPD・肺線維症に対する再生医療の応用研究など、次世代医療を見据えたトランスレーショナルリサーチを推進しています。大阪大学医学部附属病院が有する臨床研究中核病院・がんゲノム医療拠点・AIホスピタルとしての機能を最大限に活かし、個別化医療の実現を目指しています。
呼吸器外科領域における診療と研究のさらなる発展のため、そしてすべての患者さんに最先端の医療を届けるために、引き続き全力で取り組んでまいります。
呼吸器外科学 教授
診療科長
呼吸器センター長
新谷 康